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『あしたのジョー』 [映画]

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 ドヤ街でケンカを繰り返す矢吹丈。ある日のケンカ中、元ボクサー丹下段平に素質を見出されるが興味はなく、刑務所送りになる。しかし、そこで出会ったプロボクサー・力石徹にまるで魅せられるかのようなライバル意識を持ち、段平の送る葉書によってひとりトレーニングを重ねる。同様に丈を強烈に意識し続ける力石。二人の対決はやがてリングの上へと舞台を移す。そこへ至る永く厳しい道のりと、思いも寄らぬ結末——。
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香川照之氏の『慢性拳闘症』を読んでしまった時点で、この映画を思い入れなく観る事は出来なくなっていた。でも、それ以上の事は起こらないのではないかと、下手すると『慢性拳闘症』が一番面白いということになるのではないかと疑ってもいた。

すみませんでした。

香川氏の丹下段平は期待通り。オーバーアクトは全く気にならず。もうジョーがかわいくていとおしくてたまらん、という厳しくも情け深いおやっつぁんでした。

力石。そもそも伊勢谷友介は気になる役者。それにしても期待以上。凄絶でした。リングに登らずにはいられない、ジョーと闘わずにはいられない、それなくして人生はありえないという炎と狂気を確かに見た。普段のクールな表情との差がとてもいい。

ドヤ街のみなさん、いい顔してる!子どもたちのなかに、どうしてもこちらが破顔してしまうような愛らしいぶーちゃん顔の子がいる。杉本哲太がほぼ意味のないヤクザの兄貴なのだが、まあいいや好きだから。西の鼻から、ちゃんとうどんが出ますし。私が見ると、あのドヤ街は素晴らしいんじゃないかと思うのだが、何せ実感としては持っていないので困っている。

いつも主役には興味ないのだけれど、山下くんは野性をごりおしするのではなくて奥の方から引き出そうとしている感じ。刑務所で(あれは少年院ではないような気がする)雑巾なすりつけて「悪りぃ悪りぃ、便器みたいな顔だったんで」とケンカ売るところがよかった。あと、時々凄い目つきをする(身体的に痛めつけられると本気の顔になると香川氏も書いていた)。ジョーと力石がなんだってそんなにお互い宿命のライバルと認め合うのか、のあたりをもっと見たかった。

ボクシングについては本当に知らなくて、中継も見た事なければ『ロッキー』や『レイジング・ブル』でさえまともに見ていない。でも昔はそこが苦手だった鍛えた筋肉、それがぼこぼこに痛めつけられるところ、飛び散る汗、血、よだれ、腫れ上がった顔…が美しく感じられる。リングを上から捉えるカメラ。殴られてひしゃげる顔。

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アカデミー賞(2011年・第83回)雑感 [映画]

今年のアカデミー賞は、何故か自分の中での盛り上がりに欠けてする〜っと終了してしまったように思う。かれこれ20年授賞式を追いかけているわけだが、これはいったいどうしたことかしらと考えていた。あんまりにも予想通りの結果だったからかしらとか、ブランジェリーナもジュリア・ロバーツもいないからかしらとか。でもあれこれ思い出しているうちに、やっぱり楽しんでいたことに気付いてきた。お祭りってのは楽しんだもの勝ちなのだから。それにしてもアカデミーは英国がお好きですなあ。というわけで雑感を。

司会の若い二人。オープニングのアレック・ボールドウィンの夢の中(?)も好きだったのだが、なんといってもジェイムズ・フランコの女装(マリリン・モンロー。うっかり「マドンナだ!」と思った自分猛反省。いくら『マテリアル・ガール』好きだっていっても、本家を思い出さなくてどうする)に尽きるでしょう。どうするんだフランコ!大丈夫なのかフランコ!呼んでもらえなくなるぞ〜。まあ、今までの彼のキャリアを考えると、当然予想すべきではありましたがね。その時アン・ハザウェイは素で笑っていたと思う。ヒュー・ジャックマンをおちょくる歌を熱唱した後でした。

助演女優賞のプレゼンター、カーク・ダグラス。すごくおかしい!ウィットききすぎるくらいのスピーチです。しかも受賞したメリッサ・レオがいきなりFワード発言ですから!姐さんも歴史に名を刻みましたね。

『インセプション』があんなに受賞するなら(4部門)、やっぱり監督賞に入っていてほしかった。惜しい。斬新な映画だったのだと思います(実は未見。ああもう、絶対に観ようと思っていたのに観てない映画が沢山あるよ!)。

プレゼンターは楽しそうですね。ヘレン・ミレンの格調高いフランス語スピーチをテキトー英訳するラッセル・ブランド(「ヘレンは、あたしの女王の方がコリン・ファースの王よりもよかったYo!と言ってます」とかね。言ってません)。ロバート・ダウニー・Jr.とジュード・ロウなんか、ロバートさん逮捕事件の自虐ネタでした。メイクアップ賞のプレゼンター、ケイト・ブランシェットは、候補作紹介ビデオを見て「…キモっ」。あ、ビリー・クリスタルの登場が嬉しかった。「変わらないですね。時間がないのでここで作品賞いきますよ」

レッド・カーペットで妙に目立っていた、伸びすぎたパンチパーマみたいな髪の男の人が気になっていた。そうしたら、短篇実写映画賞で突如候補作の画面に登場!『God of Love』という作品の主演男優らしい。ハートのダーツを彼女に渡したりしている、なんだか面白そうなその作品が見事オスカーを受賞し、予想通りその男性が登壇!開口一番「髪切ってくればよかった」とか言ってます!要チェックな予感!

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『ソーシャル・ネットワーク』 [映画]

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成績抜群なのに、どうやらあまり人付き合いが上手くないハーバード大学生、マーク・ザッカーバーグ。今夜も喋れば喋るほど恋人を不快にさせてしまい、とうとう別れを言い渡されてしまった。寮に戻り、ほとんど腹いせでハーバードのコンピュータをハッキングして女子学生の顔写真を集め、それをランキングするサイトを立ち上げる。ビールをあおり、一方的に去った恋人の悪口をブログにアップしながら。2時間で2万2千アクセスのあった女子大生ランキングサイト“フェイスマッシュ”、それがすべての始まりだった。
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 全世界で5億人が利用するという巨大なソーシャル・ネットワーク“フェイスブック”を創った男の物語。いつの間にか大した実力者となったデヴィッド・フィンチャーの最新作である。目下今年の賞レースの大本命。
 “最も若い億万長者”のサクセス・ストーリー。…ではある、のだが、ここに描かれる男の子たちはなんだかろくでもない。美化するどころか、悪く脚色されているみたい(“リアル”ザッカーバーグ氏は、フェイスブック創設前から付き合っている恋人と、今でも続いているという話だし)。
 マークはとにかくよく喋る奴なのだが、頭の回転が良すぎるらしくて会話が成り立たないこともしばしば。いわゆるおたくで、成績は良いのにあかぬけない、自意識過剰と強烈なコンプレックスを抱えている。しかしパソコンに向かうと敵なしの行動派。ああ、でもアルゴリズムは親友に頼っていたなあ。演じるジェシー・アイゼンバーグは、今後この型にはめられて役者として苦しむのではないかと心配になるほどの見事な演技。
 さて、アルゴリズムを書き、CFOとして出資したりスポンサーを探したり活躍していたのに、いつのまにか居場所をなくしていき、ついに決定的な出来事から親友を訴えることになるエドゥアルドは、アンドリュー・ガーフィールド。『わたしを離さないで』にも出演、新スパイダーマンに決まった有望株。って、『Dr.パルナサスの鏡』のあの一座の若い衆か!まあまあ、立派になって。
 彼らの活動と友情に大きな影響を及ぼす、ナップスター創設者ショーン・パーカーが、ジャスティン・ティンバーレイク。うさんくさい!素晴らしい!
 富豪のご子息、ハーバードの勝ち組であるボート部の双子くんが、素敵に嫌みで、でも変に紳士だったりしてよかったのだ。こんなイケメン双子をよくキャスティングできたなあと感心していたら、なんと一人二役だった。いや〜びっくり!
 異様に台詞が多い(脚本も素晴らしい、テレビシリーズ『ザ・ホワイトハウス』や『ア・フュー・グッドメン』のアーロン・ソーキン)のだが、説明的なものではなく、人物像やお互いの感情などの複雑な部分を映画として見せてくれる。時間軸に沿ってストーリーが語られるのではなく、いくつかの視点から再構築されているのも好み。なんてことない脇役までも印象深い、優れた作品。
 ところで、天下のハーバードに入ったところで、やつらああいったパーティばっかりしてるんですかね。いつの間にか親目線。ああ、歎かわしい(笑)。
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ゴールデン・グローブ賞(2011年・第68回) 雑感 [映画]



年が明けると、映画の賞レースがぐんぐん加速するのだった。本日授賞式、日本での放送はAXNでこの週末なので、結果の速報だけ聞いての感想を。

映画部門。
助演男優賞がクリスチャン・ベール。ああ、なんだか今まで賞に絡んでこなかった彼ですが、よかったですね。

主演女優賞は、ミュージカル部門がアネッタ・ベニング。私好みの低い声で、何演らせても完璧で、しかも夫はウォーレン・ベイティだという凄い方。ドラマ部門がナタリー・ポートマン!おめでとう!少しふっくらしている幸せいっぱいの彼女、結婚と出産のきっかけになった作品での受賞。

主演男優賞がコリン・ファース。ドラマ部門でしょうね、アメリカ人は英国が好きだな〜。まあ、ゴールデン・グローブ賞を選んでいるのは外国人記者なわけだけど。

ドラマ部門の作品賞・監督賞・脚本賞・音楽賞の4冠に『ソーシャル・ネットワーク』だ!本当は今日これを観に行くつもりだったのだけれど、あんまり雪が降っているのでやめたのであります。ちゃんと観るから、上映していてね。
予告がすごくよかったので期待しているのだ。

テレビ部門。
ドラマ・シリーズ部門の作品賞と主演男優賞が、マーティン・スコセッシの『BOARDWALK EMPIRE』。主演はブシェミさんです。おめでとう!

ミュージカル・コメディシリーズ部門はまたしても『Glee』だ!助演男優賞がクリス・コルファー(カート役。かわいい!)、助演女優賞がジェーン・リンチ先生ということ。

レッド・カーペットの写真を見ると、今年も優美なドレスが多いな〜。アンジェリーナ・ジョリーはまたも美しい緑のドレス、なのだが、キャサリン・ゼタ・ジョーンズもミラ・クニスも緑なのですよ。色合いは、3人とも微妙に違うんだけどね。流行っているのか?アンジーは2年くらい前にも素晴らしい緑のドレスを着ていた。アン・ハザウェイのドレスも素敵です。あと、ブラッド&アンジー、マイケル・ダグラス(病から回復したとのこと、よかったです)&ゼタ姐さん、ニコール・キッドマン&キース・アーバンなど美しいご夫婦が目白押し、素敵です。すっげーめんこい(かわいい)若い男の子がいるけど誰!?と思ったら、今をときめくジャスティン・ビーバー君でした。体調戻ったのね、間にあってよかったです。

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『デスペラード』 [映画]


デスペラード コレクターズ・エディション [DVD]

デスペラード コレクターズ・エディション [DVD]

  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • メディア: DVD


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ギャングに恋人を殺され、自らも手に傷を負ったためマリアッチの道を閉ざされた男。彼は復讐を果たすために、ギターケースに銃を詰め込み、ギャングのボスであるブチョを追っている。強烈な銃撃戦、フェロモンがあふれかえるような男と女、いい容貌の男供、子ども…。浪花節っぽい泣かせ所も満載の、笑えるくらいに痛快な問答無用のアクション・ムービー。
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大好きなのである、この映画。何気なくテレビをいじっていたら、ユニバーサル・チャンネルで放送していた。丁度酒場にクエンティン・タランティーノが到着したシーン、当然観る。ビールまずそう、トイレ汚い、バカ話。頭に穴開いちゃった男をずるずるひきずっていき、血痕をあきれるほどおざなりにモップで拭いているのを見た息子(小2)が「ねえ、あれってひきずっちゃいけないんじゃないの?」とやけにまっとうなコメントをするのもおかしい。やがてバンデラスが酒場にやってきて、ホールドアップから一転、ジャキーン!と二挺拳銃で撃ちまくる、男どもも酒瓶もむちゃくちゃ入り乱れるのシーン、路上で美女と出会い、とたんに彼女を守っちゃって怪我するシーン(そういえばトレホさんもいたのだった。むむ〜、やっぱり刀をいじっている)。たまんないっすね。

これほど正月にふさわしい映画もそうないのではないか。もう毎年観る事に決めようかな。ロドリゲス監督に惚れなおす新年となりました。
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『インシテミル 7日間のデス・ゲーム』 [映画]

==時給1120百円!?ありえないだろう…。しかしそんなアルバイトに応じてしまった10人。閉じこめられた館のなかで、不可解な非日常のサバイバルゲームが始まってしまった==

まあ、映画化されれば原作とは別物です。そのまんま映像になんてできない。

冒頭、藤原竜也ってこんなおばかになれるんだ!って表情をみせてくれます。
ほとんどラスト、綾瀬はるかってこんな繊細な感情を出せるんだ!って表情をみせてくれます。それこそが見どころ。

勘弁して欲しいと思ったのは、まずサブタイトル。藤原竜也が出ているものに全て“デス”とつける気じゃないだろうね。あと、エンディングの歌は私の好みと違ったのです。

それにしても、原作読んだ時と全く同じに「あっ、こいつがいるって忘れてたよ」と思ったり、「ミステリ読みって因果なものだよな〜」と思ったり。自分がおかしい。遊戯室の書棚を見て、あれが一週間読み放題なら、喜んで22時以降は部屋の外になんか出ないで過ごすのにとうっかりわくわくしてしまった。それにしても、書棚の上の3段くらいは、装幀からして岩波文庫、ほとんどが外国文学だろうと思ったのだが、岩波にそんなにミステリがあるのか?とちょっと調べてみたら、そうですねすみませんでした、古典だものね、自分があんまり手にしてないからってすぐ疑ってごめんなさい。それにしても、古典ミステリって読んでないか忘れちゃっている(読んでないに等しい。というかもっと悪い!)なあと実感。温故知新の秋にしようかな。そうだ、インディアン人形が減っていくと怖かったかも。

石井さんのうざったさ、笑わない石原さとみ(悲鳴も妙にドスがきいていて、リアルだった)、やたら笑ってる武田真治、専属スタイリスト付きの北大路欣也(エンドクレジットで一番感心したところ。さすが大物)。役者さんを楽しむ映画。みなさん、楽しそうでした。

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『ヤギと男と男と壁と』 [映画]

==妻に出て行かれてしまった新聞記者ボブ(ユアン・マクレガー)は、ほとんど自暴自棄。イラク戦争を取材するべく現地に向かってしまったものの、入国待ちでクウェートに足止めされていた。そこで偶然出会った男リン(ジョージ・クルーニー)は、かつて取材した自称超能力者が、軍で一緒だったと語っていた伝説の人物。見つめるだけでヤギの心臓を止めることのできる男だ。なんたる偶然!しかし本当なのか、どうにもうさんくさいと思いながらも、ボブはリンに同行して突撃取材をすることに。リンから聞き出す、米軍に存在していた超能力部隊のなりたちから消滅まで。そして現実のイラクの街や前線。ボブが見て聞いて感じたものとは…?==

ベトナムで闘っている時に顔面強打とともに開眼、ヒッピー修業を重ねた後に米軍超能力部隊「新地球軍」をつくった男ビルが、ここのところ絶好調のジェフ・ブリッジス。三つ編み、素敵です。もともとおやじ好きな私だが、たるんだ腹や二の腕にこんなに愛しさを感じるような日がくるとは思わなかった。

新地球軍で浮いていたプライド男、転じてビルを内部告発したあげくに部隊をぶっ壊して乗っ取ろうとしたラリーがケヴィン・スペイシー。なんでもできるこの役者、今回は気の毒なほど自意識過剰な、ケツの穴の小さき男を楽しげに演っている。

とまあ、こんなにイイ顔した一流どころがぞろぞろ出てくる作品を見逃す訳にはいかない。「俺たちは“ジェダイ計画”を進めていた訳だ」「…はあ…?」「フォースを用いて世界を平和に!私はジェダイなのだ」みたいな話をアホかよ、という気分を押し隠したユアンに熱く語るジョージ兄貴。ユアンもかつてはジェダイマスターだったんだからさあ、とうきうきしてつっこみたくなる、いい配役だ。

もうどっちにしろ最前線なんてぐっちゃぐちゃで、何を信じればいいのかもわからん、みんなアホアホじゃ〜ん、というような戦争ものブラックコメディとおんなじにおいがする。『M★A★S★H』とか『スリー・キングス』とか。スピルバーグ系の戦争映画は全くだめなのだが、こっち系は好きだなあ。キラキラ眼力でワールド・ピースを実現させたい!

それにしても、ユアンはいい顔になりましたね。ラストで彼が掴んだものを、私も欲しいな。
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『ヒックとドラゴン』(3D・吹替版) [映画]

==バイキングの島に暮らす少年、ヒック。勇壮さが人の評価となるこの島で、ヒックはいつまでたっても半人前扱い。実は大物の息子だったりする彼だが、先頭にたってドラゴン退治をするタイプでは全くないからだ。そう、弱虫と思われていた。
ドラゴンは、島の暮らしをおびやかす天敵であり、非常に獰猛かつ危険、見かけたらすぐに殺すことが掟。大人になる為には、ドラゴンとの戦い方を覚え、殺していかなくてはならない。
ヒックもヒックなりにドラゴンを捉えようとしていた。そしてもの作りの才がある彼自身のの道具で、ついにドラゴンを捕獲!これで僕も一人前と認められる、このドラゴンを殺して皆にみせれば…。しかし何故かできない。それどころか、傷ついて飛べなくなったドラゴンに、ヒックは食料を運びはじめた。しかし、それがやがて彼らの世界を揺るがす力を持つ絆になろうとは、ヒック自身考えもしなかった==

子どもたち(小学4年と2年)にせがまれて足を運ぶ。彼らはたぶん、オードリーの出ている予告を見たのがきっかけだろう。私一人なら観ていなかった。フルCGアニメにはあまり興味がない(たぶん食わず嫌い)。

ついでに3Dを初体験することにした。これも、私一人なら2Dで充分と思ったはず。とび出す映像になったからといって、映画の質が上がるとは限らない。それに、ひどい頭痛がおこるという話を少なからず読んでいて、頭痛持ちとしては腰が引けていた。まあ、夏休みスペシャルな気分で行ったわけである。

で。
…もしかして、初体験にして大金星?
これを基準にしたら、今後のフルCGアニメやら3Dはみな点が辛くなっちゃうってやつ?
かなり良かった!

まずですね、本編の前に『シュレック3』の宣伝をえんえんとやられて、これが3D仕様なのですが、どうも私には単なるとび出す画、にしか見えない。やっぱり自分で観るなら2Dの普通仕様がいいな〜とさっさと結論づけようとしていた(早すぎ)ところで、本編開始。ドリームワークスのロゴ、が、3D仕様になってる!う〜〜、ちょっとこれは反則ではないのか!?と思う間に、バイキングの島へ波を蹴立ててすすむ、そのしぶきがかかりそうだよ!

水しぶきとか、パチパチと燃え上がる火の粉、ふわふわと落ちてくる灰、なんてものが、思わず払いのけようとしてしまうほどリアルに眼前にせまる。飛行シーンや、水中シーンももちろん効果的なのだが、じっと佇むヒックの風にそよぐ髪の毛などがとても美しい。3D版は、作品によっては非常によい体験ができるものらしい。

肝心の映画がまた、シンプルでストレートなストーリーを、丁寧に丁寧に気持ちや経験を積み重ねて描く秀作だった。説明的セリフに頼らずに表情でみせる。あざとさが鼻につかない。これはやろうと思ってできることではないはずだ。わくわくさせる展開に引き込まれて後半はもう夢中。

吹替の声優陣も素晴らしかった。どうしてこうやって、ふつうに声優さんを使った吹替版が少ないのだろう。話題作りのためだけに、半端なタレントなどを起用するのはもう勘弁して欲しい。「思ったよりよかった」というのは合格とは違うのだ。

ヒックのドラゴン退治修業仲間の、ふくふくデータ野郎くんが何故かいい。あと、ちびちびドラゴンがかわいかったな〜。ああ、エンドロールにちりばめられているドラゴンのイラスト(?)は必見です。まだ帰っちゃだめです。しゃれたタッチで見ていてとても嬉しくなる。

原作は未読。ちらちら覗いた感じでは、結構設定違うような印象だがどうなのだろう。映画としては、このとおり申し分ないです。


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『借り暮らしのアリエッティ』 [映画]

==人間の側に住み、生活に必要なものをちょっぴり借りてきて暮らしている小さな人。彼らの掟は“人間に見られてはならないこと”。そんな借り暮らしの小人たちが、ある古い屋敷にも住んでいた。寡黙だが落ち着いたお父さん、ちょっと心配性なお母さん、そして14歳のアリエッティ。好奇心いっぱいで元気者の彼女は、初めて“借り”に行く日を楽しみにしていた。それは大人の一歩だから……。その屋敷に、人間の少年、翔が滞在することになる。屋敷の女主人の姉妹の孫にあたる翔は、心臓が悪くて手術を控えていた。彼の考え深げな瞳がアリエッティの気配をとらえるのに時間はかからなかった。しかし、それは借り暮らしの人たちにとっては危険なこと。住まいを移さねばならない==

ノートンの『床下の小人たち』をジブリがアニメ化、と聞いた時には、失礼ながらなんだか心配だった。やたら説教臭くなりそうな予感。予告を観て「君たちは滅びゆく種族なんだよ」「違う!」なんて会話にさらに不安になった。

でもね、この作品は静かなる小品だった。声高に「共生を!」なんて言わないのでご安心を。原作については、読んだ、という記憶しかなくて(だって30年くらい前のことだよたぶん)イメージの差に悩むこともなく済んだし。映像はやっぱり美しい。そして、小人目線で我々の(って言っても、ちょっと浮世離れしたような素敵なおうちなわけだが)世界がこんなふうに見えるんだ!ということろが実に面白かった。部屋の中が遠い!外の世界が果てしない!ああ、床下でびよんびよん跳ねているのがコオロギでありますように(大嫌いなカマドウマに見えてしょうがない、あの大きさで奴等が来たら私気絶する)。これ、東京都現代美術館に今行くと、種田陽平展で実際に体験出来る。羨ましい。

悪い人がいるわけじゃなくて、でもその行動が他の人を追いつめてしまうこともあって、簡単に解決するような問題でもなくて、それぞれが自分の道を行く、と。好奇心、好意、プライド、宿命、スモールワールドには全てがつまっている。本当は悪人でもないお手伝いのハルさんに関しては、もっとあれこれ追及してみたいところ。妙な和解などないのがいっそ好ましかった。

竹下景子さんは、このところ素晴らしいですね!『ゲゲゲの女房』も楽しみにしております。藤原竜也さんの意外な使われ方にびっくり。『未来少年コナン』のジムシイを彷彿とさせる野生児。彼の活躍を見たいものだわ。

小学4年の娘には、アリエッティの髪留め(?)が好評。小学2年の息子も楽しんでいた。なんたってアドベンチャーでありますからね、“借り”は。



床下の小人たち―小人の冒険シリーズ〈1〉 (岩波少年文庫)

床下の小人たち―小人の冒険シリーズ〈1〉 (岩波少年文庫)

  • 作者: メアリー ノートン
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2000/09
  • メディア: 文庫



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『アイアンマン2』 [映画]

==「私が、アイアンマンだ」と認めたトニー・スタークは、いまや超々セレブかつ正義の味方!しかし“スーツ”は兵器であるから国によこせと言われてみたり(まあ当たり前)、体内毒素が溜まる一方で生命の危険があったり、ゴージャスな暮らしには影が色濃く差していた。そんなトニーの前に、突如最強の敵、へなちょこなライバル、そして謎の美女までもがあらわれる!!==

ちゃんと前作のラストを継承して始まる2本目。主人公が女好きってのはほんといいですね、次から次へと美女が出てくる〜。

前作では久々にデキるうえにかわいかったペッパー(グイネス・パルトロウ)は、今回もトニーのおもりで手一杯。あげく、とんでもない仕事を任せられてしまう。ああいうタイプに怒られてみたい気持ちは、なんだかわかる。

しかし!!今回はっきりいってペッパーはかすんじゃってます。じゃじゃ〜んと登場のスカーレット・ヨハンソンが凄いんだもの。お召し物は七変化だし、赤毛だし(なんで赤毛ってそそるんだろう)、あれやこれやの大活躍なのだ。アクションもできるんだね〜(ってまあ、わかんないけどどこまで自分でやってるのかなんて)。着替えもあるんだよ!あの時運転しているハッピー(…実は自信ない。違う?)がよかった。そりゃ前なんか見てらんないよね!

今回の敵役、ミッキー・ロークさん(鳥好き)!長髪の人生どん底から再起、っていうのが定着しつつある?でもまあいいや。私は『シン・シティ』の彼がえらく好きです。復活後の方をよく観ているのだが、昔の『ハーレー・ダビッドソン&マルボロマン』というしょ〜もない作品の彼も好きでした。もうあんな役こないよな〜。

もう一人の敵、というかライバル、というかのひょろひょろくんハマー(一応エライ人なのだが)役のサム・ロックウェル。“Pick Up The Pieces”でののりのりダンスが、なんだか脱力。声まで大好きなサミュエル・L・ジャクソンもまた出てくれて嬉しい。ドン・チードルは、真面目そうでした。あの、どうして日本庭園で決戦するのが好きなのかなみんな。『キル・ビルVol.1』のオーレン・イシイのこととか考えちゃったですよ。

記者会見やらパーティーのスピーチのシーンでは、ロバート・ダウニー・Jr.の今年のゴールデングローブ賞受賞スピーチがどうも彷彿とする。トニー・スタークって、彼とかぶるように役作ってるんだろう。いいけど、好きだから。「お礼なんていわな〜い!」というスピーチ、泣けました。いいぞ、破天荒な苦労人。

トニーは私の好きな目張りの入ったアウディに乗ってる(ヘッドライトの下にLEDがはめこんである。R8スパイダーってやつらしい)。ガレージ見ればわかるように車好きなのだ。いいな〜車道楽。今回は、楽しそうにモナコに乱入もします。

例によって、エンドクレジット後に次への繋ぎがあるので、まだ帰っちゃだめですよ。
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