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『嘘、そして沈黙』 [本]


嘘、そして沈黙 (扶桑社ミステリー)

嘘、そして沈黙 (扶桑社ミステリー)

  • 作者: デイヴィッド マーティン
  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 1992/08
  • メディア: 文庫


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申し分ない暮らしをしている実業家が、自宅で死んでいた。警察は自殺と断定、しかしキャメル刑事は、若き妻がなにかを隠していることを感じとる。魅力的な彼女の秘密とはなにか?かつて署きっての出世頭だったにもかかわらず、いまや漫然と退職と年金暮らしの始まるのを待つだけの万年巡査部長キャメルは、昔の相棒とともにはからずもこの事件に深く関わっていく。一方、顔に口紅で落書きをした惨殺死体が相次いで発見され、リップスティック殺人事件と呼ばれ捜査が始まっていた。
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車酔いをするので、バスの中では本は読まないと決めている。が、これ辛抱できずに読みました。立っていて荷物もあったのに。やめられないです、面白い。描写はわりときついし、今後ろからページを覗き込まれたらちょっとまずいかもとも思うのだが、止まらなかった。

それでもセンセーショナルな描写とツイステッドな展開で読ませる、単なるサイコ・スリラーと思っていた。が、最後の最後で突然。

ちょっと凄かったです、もっと読まねば。エルロイとかクラムリーが寄せた賛辞は、大げさではない。



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『サンドウィッチは銀座で』 [本]


サンドウィッチは銀座で

サンドウィッチは銀座で

  • 作者: 平松 洋子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2011/01
  • メディア: 単行本


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よき店の、よき料理、そしてお酒。季節の移り変わりを舌で感じる。いや舌だけではない、まさに五感をフル稼働させて、味わいつくす。『オール讀物』連載の“いまの味”をまとめた一冊。
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いやあ、大変でした読み終わるまでが。「うなぎ…」「うなぎの串焼き!?」「ああ、たいめいけん!」「んんんん〜〜」などとぶつぶつつぶやきながら読んでしまった。公共交通機関では開かないほうがいい。夜に家で読んでいたのだが、さっさと仕度して街に飲みに行きたくなって困った。

実際に足を運んだ事のある店は数軒なのだが、なんだか自分も知っているような気分になってしまう。子どもの頃、親と街場に出掛けた時に寄って食べた、大好きだった店、今はないそれらの店のことを突然思い出したり。ちゃんと食べることの好きな、よい大人になりたいものだ。お酒も楽しいね。過ぎなければね。

上野の“聚楽台”で食べてみたかった…。と思って検索したら、あらあのグループなんだ、私の街にも系列店があるじゃないですか。今度行こう。

表紙をつくづく眺めては、サンドウィッチに思いを馳せてしばしぼおっとしてしまう。悶絶して読むべし。

谷口ジロー氏の挿画(というよりも同じお題で平松さんと谷口氏が競演しているという感じなのだ)、こちらも奥行きがあって味わい深い。ああ、神田をまたうろついてみたい…。



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『卵をめぐる祖父の戦争』 [本]


卵をめぐる祖父の戦争 ((ハヤカワ・ポケット・ミステリ1838))

卵をめぐる祖父の戦争 ((ハヤカワ・ポケット・ミステリ1838))

  • 作者: デイヴィッド・ベニオフ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2010/08/06
  • メディア: 新書


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作家である私は、祖父に話を聞きにやって来た。レニングラード包囲戦を体験している祖父は、18才になる前にドイツ人を二人殺している。誰から聞いたのかわからないその話を、改めて祖父から語ってもらいたくなったのだ…。1942年、ドイツ包囲下のレニングラードで、17才の祖父は、上官の娘の結婚式のために卵1ダースを調達せねばならなくなった。この飢餓地獄の中、どこでどうやって?相棒となったおしゃべりなコーリャという男と共に、祖父がくぐりぬけた戦争の実際とは。
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年末年始にかけて、非常に集中できない状態で読んでしまった。のだが、これは読ませる。命がけの任務は卵の調達というあほらしさ、包囲戦の最中の人々の状態や兵士たちの様子が皮膚感覚でせまるような語り口、そこをくぐり抜けていく二人は、けれどもまるでえんえんと下ネタ満載の漫談でもやっているかのようなコンビ。置かれた状況の非現実的なまでの愚かしさが浮かび上るが、悲壮感や押しつけがましさはなく、まさに活劇であり、バディムービー、ロードムービーを観ているかのようなのだ。エンターテインメントなのに、歴史の真実が光り、青年期の甘酸っぱさまで立ち上る、雪の中の万華鏡のような一冊。2010年の各種ベストテンで軒並み上位に登場しているのも納得。女の子たちの屋敷のところや、チェスのシーンなど忘れ難い。映画化できそうと思うのも当然、作者は『トロイ』や『ウルヴァリン』を手がけた脚本家なのだ。
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『デスペラード』 [映画]


デスペラード コレクターズ・エディション [DVD]

デスペラード コレクターズ・エディション [DVD]

  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • メディア: DVD


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ギャングに恋人を殺され、自らも手に傷を負ったためマリアッチの道を閉ざされた男。彼は復讐を果たすために、ギターケースに銃を詰め込み、ギャングのボスであるブチョを追っている。強烈な銃撃戦、フェロモンがあふれかえるような男と女、いい容貌の男供、子ども…。浪花節っぽい泣かせ所も満載の、笑えるくらいに痛快な問答無用のアクション・ムービー。
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大好きなのである、この映画。何気なくテレビをいじっていたら、ユニバーサル・チャンネルで放送していた。丁度酒場にクエンティン・タランティーノが到着したシーン、当然観る。ビールまずそう、トイレ汚い、バカ話。頭に穴開いちゃった男をずるずるひきずっていき、血痕をあきれるほどおざなりにモップで拭いているのを見た息子(小2)が「ねえ、あれってひきずっちゃいけないんじゃないの?」とやけにまっとうなコメントをするのもおかしい。やがてバンデラスが酒場にやってきて、ホールドアップから一転、ジャキーン!と二挺拳銃で撃ちまくる、男どもも酒瓶もむちゃくちゃ入り乱れるのシーン、路上で美女と出会い、とたんに彼女を守っちゃって怪我するシーン(そういえばトレホさんもいたのだった。むむ〜、やっぱり刀をいじっている)。たまんないっすね。

これほど正月にふさわしい映画もそうないのではないか。もう毎年観る事に決めようかな。ロドリゲス監督に惚れなおす新年となりました。
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『ラビット病』 [本]


ラビット病 (新潮文庫)

ラビット病 (新潮文庫)

  • 作者: 山田 詠美
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1994/10
  • メディア: 文庫



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「ゆーりちゃん」
「ローバちゃん」
「私たちはうさぎー」
それが二人のテーマソング。うさぎのようにくっついていないと、みみみ警報器が鳴り出してしまう。天涯孤独の変わり者ゆりと純情軍人ロバートの、激甘ラヴ・ストーリーズ。
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あけましておめでとうございます。2011年は卯年。うさぎといえば、この本でしょう。心の双子、ゆりとロバートの、周囲をもべったべたに甘く染めてしまうお話たち。読んでいてほっこりとあたたかくなる一冊。この本を読んで以来、私は菓子店ですあまを見かけるたびに、何やらいとおしく、かつせつない気持ちにおそわれている(何故なのかは、「すあまのこども」を読めばおわかりいただけよう)。

なんでもない会話がいきいきと立ち上がってくる。愛して愛されている心地よさを堪能できる。山田詠美さんの本は、元気をもたらしてくれる。そして、近年彼女は、なにやら凄い領域にまで到達していると思う。ずっと読み続けていきます

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