『州検事』 [本]
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ろくでなしの兄ゲイツは、手にしていた銃を撃ってしまった。相手は即死、女がらみだった。ロー・スクールから帰省していたメイスンは、すべて承知で証拠を隠滅、事件は迷宮入りとなった。
20年後。メイスンは弁護士から州検事に転身、美しい妻とひとり娘に恵まれ、全ては順調に思えた。一方ゲイツは転落の一途をたどり、今は刑務所暮らし。メイスンに連絡をよこしては、娑婆に出せお前には出来るだろうと言う兄に、愛想がつきかけていた。そんなある日、突然20年前の事件が蒸し返された。容疑者となったメイスンの闘いが始まる。
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意外な作品だった。リーガル・サスペンスだとばかり思っていたのだが、法廷での丁々発止、驚くべき証拠、新しい証人といった見せ場があるものではない。自分にとって正しいことをするというのはどういうことなのか、血の繋がり(それは力にも呪縛にもなる)、喪失、他人を理解しようとすること、人間関係の危機を乗り越えることといった、永遠の共感できるテーマが丁寧に描かれる。
随分中断しながら読んだのだが、改めて本を手にするたびに、今までのシーンが鮮やかに立ち上ってきた。絶妙なリアリティを持つ佳作。
メイスンの相棒カスティスが好きで、ジェイミー・フォックスなんかどうだろうかと考えている(歌うシーンは、ないけど)。映画じゃなくて、テレビのドラマ・シリーズで観たいな。じっくりと考えたり、続きをわくわくしながら一週間待ったりしたい。
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